土壌汚染に関する法律について
土壌汚染は人間だけでなく周辺の自然環境にも深刻な影響を与えるものです。
しかしながら、経済的にいきる私たちにとって、工場などでの生産活動をまったくのゼロにすることも難しい話といえます。
そこで、土壌汚染を最小限に食い止め、もし起こった場合に対処できるように道筋を立てるために法律が定められています。
この記事では、どの様な法律が定められているのか、そしてその法律ではどの様な内容となっているのかなどをまとめていくことで、法律面から見た土壌汚染の対応を見ていきます。
(土壌汚染の関連法)
土壌汚染に関連する法律はいくつかあるのですが、その中でも主たる法は3つあります。
ひとつは、その名もずばり「土壌汚染対策法」。
そしてふたつめは土壌汚染対策法における有害物質の指定をしている「水質汚濁防止法」
みっつめは日本における公害など環境に与える被害を防ぐために制定された「環境基本法」です。
日本における土壌汚染の法律は環境基本法によって規制はされていました。
しかしながら具体的な土壌の回復にかんする処置において住宅地、商用地、工業用地などにおいて適用されていなかったがために、穴が空いているような状態でした。
その穴をふさぎたいと多くの土壌汚染の被害者などが声を上げてきた結果、土壌汚染対策法という形で、より深く土壌汚染に踏み込むことができるようになったのです。
(各法律の特徴)
・土壌汚染対策法
土壌汚染対策法は土壌汚染による人の健康被害を防止するための調査・処置などの対策を実施することを目的として平成15年2月15日に施行されました。
この法律によって規制される事柄は次のようなものになります。
1.規制対象
◇水質汚濁防止法施行第2条に定められた「特定有害物質」を製造、使用、処理をしていた水質汚濁防止の特定施設(油外物質使用特定施設)に係わる工場・事業場の敷地だった土地
◆土壌の特定有害物質によって人に健康被害が及ぶ危険性があると都道府県知事が認めた土地
2.規制対象となる行為
◇有害物質使用特定施設を廃止するとき(法第3条)
◆指定区域(土壌にある特定有害物質の汚染が環境省令で定める基準を超えてしまった土地)で土地の形質変更を行うとき(法第9条)
3.土壌汚染調査
◇使用が廃止された有害物質使用特定施設に係わる工場や事業所の敷地だった土地の所有者等(所有者、管理者又は占有者)が、その土地の土壌汚染の状況を環境大臣が指定する者(指定調査機関)に調査してもらい、その結果を都道府県知事に報告しなければなりません。(法第3条)
◆都道府県知事は、土壌が特定有害物質に汚染された人にまで健康被害が及ぶ危険性があると認めたときに、その土地の所有者等に調査、および調査結果の報告を命令することが出来ます。(法第3条)
4.対策の実施等
◇都道府県知事は、土地(指定区域内の土地を含む)の汚染で人の健康被害が出てしまうかもしれないときには、その土地の所有者等に汚染を除去等するように命令することが出来ます。
只、その原因が明白で、土地所有者等に異議がない場合には汚染原因者が対象となります。(法第4条)
◆指定区域内で土壌の採取、その他の土地の形質の変更を仕様という時には、都道府県知事に届ける必要があります。
都道府県知事は、もしその施工方法が環境省令に適さないと認めたときには施工方法に関する計画の変更を命令することが出来ます。(法第9条)
これらの規制の上、土壌汚染の状態に応じて必要な措置を執る必要があります。
もしも、土壌汚染が認められ何ら対策を講じない場合には、
〔罰則〕
第三十八条:第三条第三項、第四条第一項、第七条第一項若しくは第二項又は第九条第四項の規定による命令に違反した者は一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十九条:第九条第一項の規定による届け出をせず、又は虚偽の届出をした者は三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する
第四十条:次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一.第二十六条の規定に違反した者
二.第二十九条第一項若しくは第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第四十一条:法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、全三条(前条第一号を除く。)の違反行為をしたときは、行為者をばっするほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第四十二条:第九条第二項又は第三項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をした者は二十万円以下の過料に処する。
・水質汚濁防止法
水質汚濁防止法とは、工場などから河川、海、湖などの公共水域への水の排出、土壌からの汚染拡大による有害物質の水の浸透などを防ぐために、その排出を規制し生活排水対策を行うように定める法律です。
この法律により、人への健康被害、生活環境への影響、もし人に健康被害が及んだ場合の事業者への損害賠償の責任を定めて被害者が保護されるようになりました。
☆土壌汚染対策に関連する箇所
「特定施設」
土壌汚染対策法において、土地の調査・対策の対象となるのは特定施設というものです。
この特定施設とは水質汚濁防止法施行令第2条第2項別表第一において掲げられている施設です。
その設置には届出が必要で、届出受理日から60日間実施制限がなされています。
この特定施設は法第2条第7項において定められた有害物質を製造、使用、処理する施設であり、そのために人への健康被害が及ぶ危険性を有しています。
水質汚濁防止法施行令別表第一
また、上記の表以外にも、201人~599人のし尿浄化槽(農業集落排水処理施設等を含む)も「みなし指定施設」となり届出が必要となります。
☆事業者の責務
特定施設の設置者は次のような義務が課せられます。
・特定施設の設置等に当たっては届出をすること
(工事着手予定60日前までに提出)
特定施設の構造等の変更(構造、使用方法、汚水等の処理方法、排出水の量等)届出(工事着手予定60日前までに提出)
指名、住所等の変更の届出(継承した日から30日以内に届出
汚濁負荷量の測定手法の届出(測定義務の生じる前日までに届出)
・排水基準、総量規制の遵守及び有害物質を含む特定地下浸透水を地下へ浸透させないこと
・事故時の措置
・排出水の汚染状態、汚濁負荷量及び特定地下浸透水の汚染状態を測定し記録すること
・排水溝の位置等排出の方法を適切にすること
(罰則)
水質汚濁防止法において、その排水基準等を違反した場合には下記のような罰則が科せられます。
1.計画変更命令または改善命令に違反した場合
→1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法30条)
2.排水基準に違反した場合
3.緊急時の措置命令に違反した場合
4.応急措置命令に違反した場合
→6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金(ただし、過失で排水基準違反をした場合は3ヶ月以下の禁固又は30万円以下の罰金(法31条)
5.特定施設の設置届出、構造等変更届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合
→3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(法32条)
6.特定施設の使用届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合
7.工事の実施制限期間に違反した場合
8.指定地域内事業場であって、汚濁負荷量の測定及びその結果の記録をしなかったり、虚偽の記録をした場合
9.報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、又は立ち入り検査を拒み妨げ忌避をした場合
→20万円以下の罰金
10.氏名等の変更届出、特定施設使用廃止届出、継承届出、汚濁負荷量の測定手法の届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合
→10万円以下の過料
・環境基本法
日本における環境政策の柱ともいうべき法律です。
1992年6月に開かれた地球サミットを契機として1993年11月に成立
その目的として国家、地方公共団体、事業者、国民がすべて責任を持って環境の保全を図り、それによって現在、将来の国民が健康的で文化的な生活を送れるようにするというものです。
その性質故、上記の土壌汚染対策法、水質汚濁防止法とは違い、法を犯した者に対して罰則を課すよりもこうあるべきという行動指針のような内容になっています。
土壌汚染に関しては第16条第二項において「政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係わる環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする」と記載されています。
この基準が俗に言う環境基準で大気・水質・土壌・騒音などの環境に関する行政上の目標数値となっています。